資料†
Q&A†
研究テーマの決め方は?†
学部学生の研究テーマの決め方は次のとおりです。まず4月にスタッフや先輩から今ある研究テーマの候補を提示されます。このテーマは会社との共同研究が絡むものもありますが、多くは新しく考えられたものです。その後約1か月半は技術的な講習会を行います。プログラミング、電子回路、機械工作など、研究に必要なスキルを短時間で身に付けることになります。
講習のかたわら、自分のやりたい研究を考えてもらいます。講習後、候補として挙げていた研究テーマのうちのどれかを選ぶか、この時点ですでに自分のアイデアを持っていればそれを開始します。
同時にIVRC(国際学生対抗VRコンテスト)等のコンテストに自力で応募する事を薦めています。こちらは教員は関与せず、アイデア出しから展示までの行程すべてを学生が自力で実現するための体験の場ととらえています(この成果がその後研究テーマに発展することもあります)。つまり研究室では漠然と二つのトラックがあると考えて良いでしょう。
研究者としての到達目標は次のようなものです
・学部:研究テーマを自分で提案することができ、その意義を他人に納得させることができる。
・博士前期課程:後輩の研究指導に研究テーマ提案の段階から参加でき、後輩にそのテーマを魅力的と思わせることができる。
・博士後期課程:独立した研究者として研究室内研究室を運営できる。予算申請を含む。
これらはそれぞれの課程が「終わる頃」に身につけるべき能力です。
どんなスキルが必要?†
研究室の卒業生を対象に、研究発表件数などの成果と学部時代のスキルとの相関を調べた所、英語力、プログラミング力と弱い相関があることが分かっています。このためスキルに関する質問に対しては「英語力とプログラミング力が同程度に必要」と回答しています。GPAとの相関はこれらに較べるとやや弱いですが、大学院推薦を取れることによって研究時間をより多く確保できるという利点はあると思われます。
英語に関しては、学部生の時から先行研究の調査は半分以上が英語になります。また多くの場合学部後半、遅くとも修士の間に海外発表の機会があり、書く・話す英語力が必要になってきます。昨今の翻訳系AI技術の発達により、以前に比べて明らかに英語の読み書きの能力はコンピュータによって補完できるようになっています。しかし国際学会で質疑応答をし、さらに仲間を作るうえでは(現在のところ)自分自身の英語力はどうしても必要です。研究室配属後は研究に時間を取られるので、英語は学部1~3年の間にレベル上げをしておくことが大切です。
ただし研究室配属前は電通大の平均的な英語力よりもだいぶ劣っていた人が、配属後に国際学会などを経て得意になった人も居ます。さらに最近の機械翻訳の性能向上は目をみはるものがあります。このため後述するように、配属時の判断材料の一つにはしますが、その割合は低いです。
何点くらいが望まれているかについては下記資料を参照してください。ただしあくまで理想です。
プログラミングに関しては研究室希望時点でプログラミング経験が豊富である必要はありませんが、好きである必要はあります。必要なスキルはむしろ新しい課題に対する適応力で、下でも述べる新入生用の春休みの宿題を「補足資料を読んで頑張れば出来る」程度と考えてください。
事前に読んでおくべき本・勉強しておくべきことは?†
これまでの経験上、人間―機械系に関する自分なりの夢ないし妄想を持つことの出来る人ほど研究も進むようです。この分野は多くの小説、漫画、映画、ゲーム、アニメ等に取り上げられていますので、そうしたものを通して自分なりの立ち位置を作るように心がけることは重要です。つまりひとつの理想形は「理屈っぽいオタク」ということになります。経験上、母国語の言語能力と研究力の相関は、英語力やGPA等と研究力の相関よりはるかに高く、論理的な思考に疲れを感じにくい人のほうが研究は向いています。
学部講義としては3年生の「インタラクティブシステム論」を研究上の基礎教育と位置付けていますので受講を強く勧めます。ただしこの科目の成績は特に重視してはいません。
配属が決まった後、春休みの宿題を出しています。昨年の例では、
(1)UnityやESP32マイコンを使用したプログラミング
(2)3月に開かれる展示会や学会への聴講参加
(3)指定図書8冊の本読み
(4)英語の学習
を出しています。春休みの宿題はある程度重いため、そのための時間を取れることが必要になります。
- ESP32マイコンの講習会については、こちらを見てください。
- 読書の内容は、例えばFactfulness、イシューからはじめよ、理科系の作文技術、というようなものです(毎年変えています)。日本語を母語とする場合はこのくらいの本を普通に読むことが必要条件になります。つまりweb検索による断片的な知識ではなく、ある程度体系だった本によって知識を得るという習慣をつけてほしいと考えています
- 英語の学習に関しては、冬~春休みにマーフィーのケンブリッジ英文法をやってもらっています。これは国際的に標準的な本です(英語名 Grammar in Use)。
どのような教育体制?†
まず基礎的な技術力を身につけるための講習について説明します。三年生の春休みに出す宿題でひと通りの講習が終わっているので、四年生になると週に一テーマのペースで技を身につけていきます。最近の例では、4月中に
・3D-CADおよび3Dプリンタ、レーザー加工機
・回路設計および基板加工機
・統計ソフトSPSS入門
などを行いました。これらの指導は修士以上の学生が一人ずつ担当して行っています。毎回最後に品評会があり、最終課題を見せ合うことになります。
次に日常的な研究の体制ですが、4年生一人につき形式的なメンターとして修士学生が一人付きます。また博士学生以上(研究室ではスタッフと呼ぶ)が全体を見ます。これが日常のディスカッションの基本単位になりますが、あくまでも最低限の保証をするためのもので、実際にはいつ誰とでもディスカッションは行われています。教員(梶本)とのディスカッションも毎週の枠を設けていますが、これもあくまでシャイな学生への最低限の保証という意味で、実際には教員がいるときにはいつでもディスカッションしています。
研究室ではオフィシャルなミーティングが二つあります。一つはディスカッションミーティングで、一回につき二人が、一人15分ほど話し、15分ほどディスカッションします。全員必ず発言するようにしています。ディスカッションミーティングに関しては教員も例外なく発表します。もうひとつは本読み・論文読み輪講で、指定した本あるいは自分で探してきた論文を紹介するものです。二つのミーティングは週1回ずつあり、全員が出席できる時間に行われます。
なお2020年度はすべてのオフィシャルミーティングは1限の時間にオンラインで行われました。利便性が高いので今後も同様の形が継続されると思われます。
どのくらい忙しいの?†
4年生の段階で国内学会に2件程度、修士ではこれに加えて年間1ないし2件の国際会議で発表することが標準的になっており、忙しい部類の研究室と思われます。ただこれは外部との接続の機会の多さと読み替えることも出来ます。国内外の研究者、企業の方とのコミュニケーションの経験は得難い財産となるはずです。
研究生活では生活の中心が研究・研究室になり、最低でも3コマ分位の時間は研究室で過ごすことになります。そこは3年生までの生活と全く異なります。
なお2020年度のコロナ禍の中ではオシロスコープ等の研究用機材を家に郵送し、買い物も直送することで家での研究を行いました。研究室の研究はハードウエアを扱うことが多いですが、それでも対応できたので今後同様の事態となっても対応できると思われます。
他学科/他大学/社会人からの進学は可能ですか?†
可能ですし、推奨しています。社会人博士も受け入れています。また数ヶ月程度のインターンシップも受け入れています。
大学院の入試情報は大学の入試案内を参照ください。この場合も事前に配属希望先の教員の了解を得る必要があります(これは事務手続き上も必須)。早めにメールにて連絡ください。
他大学に進学/留学したいのですが†
こちらも推奨しています。特に短期的な留学に関しては電通大で最も盛んに行っている研究室の一つかと思われます。
- 2010年度:二人(修士1年、修士2年)がフランス(INRIA,Université Paris 6)に3ヶ月の留学をしました。
- 2011年度:一人(修士1年)がフランス(Université Paris 6)に3ヶ月の留学をしました。
- 2012年度:修士1年が2人、イタリア(Scuola Superiore Sant’Anna, Pisa)と米国(University of Pennsylvania)に、博士3年が一人米国(Massachusetts Institute of Technology)に留学しました。
- 2013年度:博士2年、3年が中国(Microsoft Research Asia)、シンガポール(T-Ware)に半年のインターンシップ留学をしました。また修士1年生がドイツ(Hasso Plattner Institute)と米国(Binghamton University)に3ヶ月留学しています。
- 2014年度:修士1年生がイギリス(Bristol University)とドイツ(Technische Universität München)に4ヶ月留学しています。また博士1年生が国内インターンシップ(国立リハビリテーションセンター)を行っています。
- 2015年度:修士1年生がシンガポール(T-Ware)に3ヶ月インターンシップ留学しています。
- 2016年度:学部4年生がカナダ(TactileLabs)に1ヶ月インターンシップ留学しています。
- 2017年度:修士1年生がイギリス(University of London)に3ヶ月留学しています。
- 2018年度:修士2年生がロシア(Skoltech)に2ヶ月、修士1年生がメキシコ(Instituto Politecnico Nacional)に3ヶ月留学しています。
- 2019年度:修士2年生がタイ(Skoltech)に1ヶ月、博士1年生が米国(University of Chicago)に6ヶ月留学しています。
- 2022年度:博士1年生が米国(University of Chicago)に4ヶ月留学しています。
- 2023年度:修士2年生がオーストラリア(University of Sydney)に5ヶ月留学しています。
特に博士課程進学を考える場合は、留学によって他の研究室を経験して視野を広げておくことは非常に大切と考えています。
これに加えて、海外からの短期留学生も受け入れています。一年のうち半分程度の期間は2人程度の留学生がいる状態を保ちたいと考えており、その場合ミーティングでは資料は英語となります(発表は英語または日本語)。
4年生の卒研配属の方法について†
毎年変えている(最適解を探している)のでなんとも言えませんので詳細は研究室内説明会で説明します。
すでに述べたように研究力と直結する英語力とプログラミング力は参考にしますが、参考程度です。この相関から大きく外れる(配属後に急成長する)人も居るため、熱意や時間的余裕(≒単位取得状況など)、博士課程も含めた大学院への進学可能性も含めた総合的な判断をすることになります。
学生と研究室のマッチングは、学生にとっても研究室にとっても死活問題です。ぜひ多くの研究室を回って、教員だけでなく実際に研究している先輩と話をしてください。
教員からの情報はどうしても理想論に近く、逆に3年生の間の情報交換は研究生活を知らない人の想像になりがちです。先輩が生き生きしているか、彼らの後輩になって自分は幸せか、と考えるのがコツと思われます。
研究室配属における英語の公的試験の扱いについて†
英語に関して、TOEIC/TOEFL等の英語の公的試験の成績を参考にします。これまでに受験しておらず、かつ当研究室を希望する可能性がある場合は、早めに何らかの試験を受けることをお勧めします。
なおこれらの試験を受けていないことが研究室志望の制約になることは有りませんが、点数換算可能なオンラインテストを受けて貰うことにしています(費用は教員が負担します)。
コンタクトしたいのですが?†
メールしてください。(フィルタの誤動作で読めない事があります。一両日中に返事が無い場合は電話などの手段を講じてください。)